2020年11月の税務ニュース
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今年の年末調整の変更点(2)
先月に引き続いて、今年の年末調整の変更点をお知らせします。 これまで、いわゆる「ひとり親」に対する現行税制上の措置として寡婦(寡夫)控除がありましたが、最近は「未婚のひとり親」も増加している事に対応し、令和2年度税制改正で同制度の抜本的見直しに加えて、あらたに「ひとり親控除」が創設されることとなりました。
(1)「ひとり親控除」の創設について
現行の寡婦(寡夫)控除は、死別、離婚、生死不明の状態が要件となっており、未婚の場合は適用対象外でした。しかし、全てのひとり親家庭に対して公平な税制を実現する観点から、ひとり親控除が設けられました(なお適用者については男女の性別を問いません)。
(2)「ひとり親控除」の対象者について
現に婚姻をしていない者又は配偶者の生死の明らかでない者で、下記の要件のすべてに該当する者が対象者となります。
(イ)総所得金額等の合計額が48万円以下の同一生計の子を有すること
(ロ)本人の合計所得金額が500万円以下であること
(ハ)住民票に事実婚である旨の記載がされた者がいないこと
(3)控除される金額について
ひとり親控除の対象者の所得税、住民税の計算上、総所得金額等から下記の金額が控除されます。
・所得税:35万円
・住民税:30万円
また、「ひとり親控除」の創設に伴い、従前からあった「寡夫控除」と「特別の寡婦の控除」については、廃止されます(「ひとり親控除」に吸収)。
(4)寡婦控除について
寡婦控除については、従前どおり残っています。
「ひとり親控除」の適用要件に該当せず、かつ下記の要件を満たす女性に対して適用されます。
(イ)夫と死別、離婚、夫が生死不明の状態であること(離婚の場合は、扶養親族を有すること)
(ロ)本人の合計所得金額が500万円以下であること
(ハ)住民票に事実婚である旨の記載がされた者がいないこと
なお、寡婦控除額(所得税27万円 住民税26万円)は従前どおりとなっています。